アメリカ西海岸の人気ファストフードチェーン「In-N-Out Burger(イン・アンド・アウト・バーガー)」が、注文番号「67」をシステムから“封印”したことが話題になっています。今回の決定は、2025年秋ごろからバズり始めたネットミームがリアル店舗のオペレーションを直撃した、なんとも現代的でバカバカしくも興味深い事例です。
米ファストフードチェーンが「67」を廃止した理由

今回「67」を廃止したのは、アメリカ西海岸を中心に展開する人気バーガーチェーン「In-N-Out」です。報道によると、同社は注文番号を管理するチケットシステムから「67」を削除し、店頭では66の次がいきなり「68」とアナウンスされる状態になっています。
背景には「6-7」というシンプルなネットミームの大流行があり、10代の若者を中心に「Order 67」が呼ばれた瞬間に大声を上げたり、机を叩いたり、過剰にリアクションを取る“お約束”が店舗で頻発するようになりました。その結果、一部店舗では若者グループが“67待ち”のためにたむろし、店内が騒然となるレベルのカオスな状況が発生していたと報じられています。

従業員への証言では、「11月ごろから番号が飛ぶようになった」との話もあり、現場レベルでの運用変更は2025年11月あたりから始まり、その後12月上旬にかけて全米メディアが一斉にニュースとして取り上げた形になっています。
バカバカしいけど合理的?店舗側の事情
外から見ると「たかが番号ひとつで?」と思ってしまいますが、店舗オペレーションの視点で見ると、かなり合理的な対応です。実際には、注文番号「67」を呼ぶたびに一部の客が大騒ぎすることで、ほかの客のオーダー案内が聞こえにくくなり、提供遅延やクレームにつながるリスクが高まっていました。
従業員の証言として、「66の次は必ず68に飛ぶようになった」との投稿がコミュニティサイトに寄せられており、現場レベルで静かに運用変更が行われた様子がうかがえます。さらに、一部店舗では同じく“お約束ネタ”として使われがちな「69」もチケットシステムから同時に外されたとする報道もあり、「問題を起こしがちな番号はそもそも使わない」という割り切った判断が取られたようです。
XやTikTokでの反応:「くだらない」けど「分かる」
このニュースはアメリカのニュースサイトやテレビ局が取り上げたことで一気に拡散し、XやTikTokでも「67」がトレンド入りするほどの盛り上がりになりました。YouTubeやショート動画プラットフォームには、実際に店内で「Order 67」が呼ばれた瞬間に大騒ぎする若者たちの動画が多数投稿され、再生回数は合計で数千万回規模に達しています。
X上では、
- 「こんなくだらない理由で番号が消える時代が来るとは」
- 「ティーンの悪ノリが、ついに企業のシステム設計を変えた」
- 「67を消すより、落ち着いて食べさせろって普通に注意すればいいのでは?」
といった声が多く、笑い半分・社会風刺半分のような反応が目立ちました。一方で、「店員からしたら毎回同じ大騒ぎをされるのはたまったものじゃない」「67を消すのは、現場を守るための最終手段だろう」といった、従業員の負荷を気にかけるコメントも少なくありません。
ネットミーム「6-7」とは?
そもそも「6-7」とは、両手を上下させながら「シックス、セブン」と連呼するだけの、極めて単純なミーム(ネット上のギャグ)です。2025年の前半から秋ごろにかけてTikTokを中心に流行し、海外インフルエンサーやラッパーの動画・楽曲をきっかけに一気に拡散しました。
いわゆる“意味のないノリ”を楽しむタイプのコンテンツで、特定の深い意味や下ネタがあるわけではなく、「数字の並び」と「リズム感」が面白がられているのが特徴です。そこにリアル店舗の「Order 67」という“公式の数字コール”が重なったことで、ミームが現実空間へ侵入し、結果として番号そのものが排除される展開になりました。
過去にもあった「忌み番号」や“番号封印”の事例
数字が「縁起」や「悪ノリ」と結びついて、現実の運用から外される事例はこれが初めてではありません。もっとも有名なのは、欧米でよく見られる「13階」の欠番で、多くのホテルやビルではエレベーターの表示から「13F」が飛ばされ、12階の次が14階になっていることがあります。
日本でも、病院やマンションで「4号室」「9号室」を避けるケースがあり、「4」「9」は不吉な数字として敬遠されてきました。航空機の座席でも、13列や4列をあえて採用しない会社があり、数字が人の感情や行動に与える影響を企業が現実的なリスクとして考慮していることが分かります。
SNS時代ならではの“新しい忌み番号”
ただし今回の「67」は、従来の「不吉だから避ける」忌み番号とは真逆で、「盛り上がりすぎるから避ける」パターンです。数字そのものに宗教的・文化的な意味があるわけではなく、あくまでネットミームとしての“ネタ化”が過度に進んだ結果、リアル店舗の秩序維持のために封印されました。
これは、SNS時代ならではの新しいタイプの「忌み番号」とも言えます。特定の数字が長期的にタブー視されるのではなく、ある時期にバズった数字が短期間だけ「現場負荷の高い番号」に変わる可能性があり、企業がその都度運用で対応せざるを得なくなっているのです。
ブランドと若者文化:どこまで付き合うべきか
興味深いのは、In-N-Outがこのミームに便乗してプロモーションに使うのではなく、あえて距離を置いた点です。競合のファストフードチェーンであれば、「67」にちなんだ割引キャンペーンや限定メニューで話題化を狙う選択肢もあり得ますが、In-N-Outは逆に番号をシステムから消すという保守的な対応を選びました。
この判断は、「落ち着いて食事ができるファミリー向けブランド」というイメージを重視し、短期的なバズよりも店舗体験の安定を優先した結果とも考えられます。ミームとの距離感をあえて取る姿勢は、SNS時代の企業が「どこまでノリに乗るか」を考えるうえで、ひとつの参考例になるでしょう。
今回の件から見える「Z世代×リアル店舗」の難しさ
今回の67騒動は、Z世代を中心とした「数字で遊ぶ文化」と、リアル店舗の運営現場とのギャップを象徴する事例でもあります。若い世代にとっては「みんなで同じネタで盛り上がる」だけの遊びでも、店側から見ると、
- オペレーションの妨げになるノイズ
- ほかの客の体験を損なうリスク
- 従業員のストレス要因
といった問題につながります。その結果、「ミームと共存する」のではなく「ミームのトリガーである番号自体を削除する」という、非常に割り切った対応を選ばざるを得なかったと考えられます。


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