2026年10月19日、夜の22時32分。私はソファに沈み込みながら、たいして意味もなくスマホを親指で転がしていた。翌日の仕事のことなんて1ミリも考えていない、あの脱力した時間帯。そこへ、タイムラインの上から1本のポストが落ちてきた。
発信元はAぇ! groupの公式アカウント(@Aegroupofficial)。内容は「11月2日(月)よる7時から生放送のTBS『CDTVライブ!ライブ!』に出演決定、『Emotion』をパフォーマンスします」という告知だった。このポストは投稿からわずか数時間で11.6万回再生、リポスト2,129件、いいね9,729件、ブックマーク206件を記録している。注目したいのは、返信がたった4件しかないという点だ。つまりこれは、リプライ欄でワイワイ盛り上がる種類の投稿ではない。「見た人が、無言で保存して、静かにリポストする」タイプの告知なのだ。私はその数字を見て、ファンの熱量の質を悟った。
そして、はっきり白状しておく。私はこれまで、アイドルグループが楽器を持って演奏する、いわゆる”バンド曲”を、心のどこかで「本職じゃないんだから」と斜めに見ていたクチだ。ライブの余興、ファンサービス、そういう枠組みで処理していた。だから今回、「Emotion」という曲が5枚目のシングルの”表題曲”に据えられたと知ったとき、最初はピンとこなかった。それが今、記事を書きながら、当時の自分の浅はかさを全力で恥じている。

「バンド曲」って、アイドルの”おまけ”だと思ってた
これは私だけの偏見ではないはずだ。アイドルの世界で「バンド曲」と聞くと、多くの人が「あ、そういうのもやるんだ」という温度で受け取る。決して冷たいわけではない。ただ、”メイン”ではないという前提が、無意識に貼られている。私もその一人だった。
この前提が生まれる理由はシンプルで、たぶん”準備の量”が見えないからだ。歌って踊るパフォーマンスなら、その完成度は一目で伝わる。だが楽器の場合、観客は「この人はもともとギターが弾けたのか」「それともこの曲のために練習したのか」が分からない。分からないものは、人は安全側に倒して「すごいね(余興として)」と処理してしまう。損な話である。
Aぇ! groupは、その壁に正面からぶつかってきたグループだ。公式のリリース情報によれば、今回の「Emotion」は「待望のバンド曲が、ついにシングル表題曲に」なった一曲。つまり、これまで彼らが積み上げてきたバンドとしての表現が、ようやく”本線”に格上げされたということ。おまけが主役の座を奪った、と書いてもいい。深夜のポストを見たファンが、リプライを書かずに黙ってブックマークを押したのは、たぶんこの「ついに」の重みを、言葉にすると軽くなってしまうと知っていたからだと思う。
なぜ今、「Emotion」なのか。仕組みをコンビニのコーヒーで説明する
ここは少し理屈っぽく書かせてほしい。なぜバンド曲が表題曲になることが、そんなに”事件”なのか。
比喩を使うなら、コンビニのコーヒーだ。10年前、「コンビニのコーヒー」と聞いて、わざわざ買いに行く人は少なかった。あると便利、程度の存在だった。だが今はどうか。専用の豆を選び、挽きたてを淹れる。あの棚は、もはやコンビニの”顔”である。何が変わったか。提供する側が、それを本気で主力として扱い始めたことだ。扱いが変われば、受け取る側の評価も必ず変わる。
「Emotion」が起きているのは、まさにこの構造の転換だ。11月4日(水)リリースの5th SINGLEで、表題曲がバンド曲。しかも共通カップリングには、槇原敬之が作詞・作曲を手がけたABCテレビ「おはよう朝日です」のテーマソング「この朝は」が収録される。朝の情報番組のテーマソングと、バンドサウンドの表題曲。この組み合わせは、グループの”引き出しの多さ”を意図的に見せにいっている配置だと私は読んだ。

数字の裏付けも挙げておこう。シングルは初回限定盤A・B・Cと通常盤の4形態。初回限定盤A/B/CはCD+Blu-rayが2,130円(税込)、CD+DVDが1,800円(税込)、通常盤CDが1,300円(税込)という価格設計だ。初回盤と通常盤の差額は830円。この830円に、映像ディスクと予約特典が乗っている。円盤ビジネスにおける”830円の壁”は、ここ数年ほぼ動いていない。つまり、判断材料は価格ではなく”中身の違い”に完全に移っている。ここが、先ほどのコンビニのコーヒーと同じ話なのだ。安いから買う、ではない。何が入っているかで選ぶ時代になっている。
【ガチ比較】4形態+当日の生放送、結局どれを選ぶのが正解か
ネットの記事は「全形態買いましょう」で終わりがちだが、こちらの財布は有限である。私が実際に予約サイトを1時間かけて巡回して、本音でつけた採点がこちらだ。
| アクション・項目 | 効果・実感(星評価) | 手軽さ・コスト | やってみた本音・注意点 |
|---|---|---|---|
| 初回限定盤A(CD+Blu-ray/DVD) | ★★★☆☆ 「Emotion」MV+メイキング |
2,130円(Blu-ray)/1,800円(DVD) | 表題曲の”顔”を映像で確認したい人はこれ。特典はフォトプロップス。メイキングの満足度は高いが、他2形態と映像が被らないのが唯一の救い |
| 初回限定盤B(CD+Blu-ray/DVD) | ★★★★☆ 「この朝は」MV+メイキング |
2,130円(Blu-ray)/1,800円(DVD) | 槇原敬之の書き下ろし朝ソングを映像で見たいなら一択。特典が”ハブラシ”という謎の実用性で、正直いちばん笑った |
| 初回限定盤C(CD+Blu-ray/DVD) | ★★★☆☆ 特典映像「未完成なプロフィールを紡げ」+Photoshoot Making |
2,130円(Blu-ray)/1,800円(DVD) | ドキュメンタリー枠。曲より”人”を見たい層向け。ラバーバンド特典は日常生活で一番使える |
| 通常盤(CDのみ) | ★★☆☆☆ 音源のみ |
1,300円 | 「音だけ聴ければいい」派の正解。特典はユニットトレカセット全3種で、購入店舗によって絵柄が変わる沼がある |
| 11月2日『CDTVライブ!ライブ!』3時間SPを生で観る | ★★★★★ 生パフォーマンス |
0円(テレビ/見逃し配信の環境次第) | 円盤より先に”生”が来る。お金では買えない価値がここにある。ただし順番は当日まで不明 |
この表で一番注目してほしいのは、最下段のコストが0円でありながら星が5つ、つまり満点だという事実である。円盤3形態を全部揃えると2,130×3=6,390円(Blu-ray換算)。それでも手に入らないのが、11月2日よる7時からの生放送でしか味わえない「その瞬間」だ。そして表の2行目、初回限定盤Bの星4つ。これは私の主観だが、槇原敬之が作詞・作曲を手がけた「この朝は」がABCテレビ「おはよう朝日です」のテーマソングという事実は、この4形態の中でいちばん”外に開いた”企画だ。朝の情報番組を見る層と、アイドルファンの層は重ならない。重ならない場所に置かれた曲のMVがBlu-rayで観られる、という希少性に、私は4つ目の星をつけた。
逆に、いちばん判断に迷うのが初回限定盤AとCの2,130円だ。どちらも映像ディスク付きで同価格。ここで迷ったら、私は「メイキングが長いほう」を選ぶことを勧める。曲の完成形はどこでも聴けるが、作っている途中の人間の顔は、その円盤にしか入っていない。
11月2日の『CDTVライブ!ライブ!』、当日に待っているリアルな落とし穴
さて、ここからは現場の泥臭い話を書く。11月2日(月)よる7時から生放送のTBS『CDTVライブ!ライブ!』は、3時間スペシャルだ。出演者第1弾として発表されているのは、ano、Ayumu Imazu、ヤバT(ヤバイTシャツ屋さん)、BE:FIRST、JO1、Aぇ! group、BUDDiiS。さらにBE:FIRSTは番組の好評企画”マンスリーライブ”に登場する。つまり、3時間の中に大型企画がいくつも詰まっている。
落とし穴はここだ。「3時間SP」と聞くと、”3時間ずっと見ればいい”と思う。だが実際のテレビ視聴はそうはいかない。19時開始、22時終了。夕食、風呂、翌日の準備、家族との会話。だいたい20時台のどこかで一度テレビから離れる。そして、自分の推しが出る順番は当日まで分からない。ここが本当に怖い。
だから私は、Aぇ! groupファンに一つだけ強く言いたい。録画予約は必ず”3時間まるごと”で取ってほしい。番組名だけ入れて「SPだから多分大丈夫」と伸ばさないこと。テレビの番組表は、3時間SPでも分割して表示されることがある。20時台の頭で切れていた、という事故は毎回どこかで起きている。生で見るのは、円盤を待つより先に”今の彼ら”に会える、たった一度の機会だ。ここで取りこぼすのは、6,390円を捨てるより惜しい。
ぶっちゃけ読者が気になる疑問(FAQ)
Q1. そもそも「Emotion」って、どんな曲なんですか?
A. 2026年11月4日(水)リリースの5th SINGLEの表題曲です。公式が「待望のバンド曲が、ついにシングル表題曲に」と表現しているとおり、彼らのバンドサウンドが初めてシングルの”顔”になった一曲。共通カップリングには、槇原敬之が作詞・作曲を手がけたABCテレビ「おはよう朝日です」のテーマソング「この朝は」が収録されます。9月16日にはYouTubeで先行配信とMV直前の生配信も行われており、そこから数えると発表からリリースまで約2か月半。じっくり育てる型のリリースです。
Q2. 11月2日の『CDTVライブ!ライブ!』、Aぇ! groupは何時ごろ出ますか?
A. 残念ながら、事前には分かりません。番組は19時スタートの3時間スペシャルで、出演者はano、Ayumu Imazu、ヤバT、BE:FIRST、JO1、Aぇ! group、BUDDiiSと発表されていますが、歌唱順は当日の進行次第です。現実的な対策は「3時間ずっとスタンバイ」か「3時間まるごと録画」。トイレは19時前に済ませておくのが、地味にいちばん効きます。
Q3. 4形態、結局どれを買えば後悔しませんか?
A. 迷ったら”映像特典”で選んでください。表題曲「Emotion」のMVとメイキングなら初回限定盤A、槇原敬之書き下ろし「この朝は」のMVとメイキングなら初回限定盤B、特典映像「未完成なプロフィールを紡げ」などのドキュメンタリーなら初回限定盤C。音源だけで十分なら通常盤1,300円で間違いありません。予約特典はA=フォトプロップス、B=ハブラシ、C=ラバーバンド、通常盤=ユニットトレカセット(店舗別に全3種)。特典で選ぶと沼に落ちるので、まず曲と映像で決めて、特典は”おまけ”として受け取るのが精神衛生上いちばん安全です。
まとめ・明日からできる最初の一歩
最後に、私がこの一件でいちばん強く思ったことを書く。
「バンド曲」を”おまけ”だと思っていた私の偏見は、たぶん、準備の見えない努力に対する無意識の失礼だった。見えないものは、評価されない。それは音楽に限った話ではない。職場でも、家庭でも、誰かの”見えない練習”は毎日どこかで積み上がっていて、私たちはそれを、見えないという理由だけで軽く扱ってしまう。
Aぇ! groupは、その見えない努力の塊を、5枚目のシングルの表題曲という”いちばん目立つ場所”に自分たちで持ってきた。だから11月2日の夜は、ただの番組出演ではない。彼らが「これが俺たちの本線だ」と宣言する夜なのだ。

明日からできる最初の一歩は、拍子抜けするほど簡単だ。まず、11月2日(月)よる7時からの3時間、録画予約を”分割されない形”で入れる。次に、11月4日(水)のリリースに向けて、どの映像特典が観たいかを一つだけ決める。迷ったら初回限定盤Aから。そして当日、テレビの前で、彼らがステージに立つ瞬間を、できればリアルタイムで見届けてほしい。
私もあの夜、22時32分のポストを見たときの背筋の伸び方を、もう一度味わいに行くつもりだ。
参考リンク:UNIVERSAL MUSIC JAPAN(Aぇ! group 5th SINGLE「Emotion」) / TBSテレビ『CDTV ライブ! ライブ!』公式 / 音楽ナタリー


コメント