朝の7時。満員電車のドアに背中を押し付けられながら、いつものようにスマホを開いてタイムラインを親指で流していた。その瞬間、画面がオレンジ色の文字で埋まった。
「/アニメ「ワンパンマン」第3期第2クール【2027年1月】放送決定👊\」
正直、最初は複雑な気持ちだった。嬉しい。嬉しいんだけど、素直に「やったー!」と叫べない自分が、心のどこかにいた。だって僕は、このアニメに一度、しっかり傷つけられているからだ。
2026年10月11日午前3時15分、アニメ「ワンパンマン」公式アカウント(@opm_anime)が投稿したこの一報。第3期第2クールのキービジュアルとPV第1弾を引っ提げて、2年越しの続報は突然降ってきた。投稿は瞬く間に8万回以上再生され、タイムラインは一瞬で10年前の熱に戻った。
制作は引き続きJ.C.STAFF、監督は永居慎平さん。OP主題歌は第1クールに続いてJAM Projectが担当し、楽曲タイトルは「Never Done~最強VS最恐~」。第2クールではサイコスら新キャラクターの登場も予告されている。情報だけを並べれば、ファンにとっては文句なしの朗報だ。

「もう期待しない」と心に誓った、あの冬の記憶
話を戻す。僕がなぜ素直に喜べなかったか。それは2025年10月から12月にかけて放送された、第3期第1クールの記憶が生々しく残っているからだ。
第1クールは、あの一世を風靡した第1期(2015年・マッドハウス制作)の「神作画」を知っているファンにとって、かなり苦い体験だった。動きの少ない一枚絵が続き、「紙芝居みたい」「テンポが悪い」——放送直後からSNSはそんな声で溢れた。第6話・第7話あたりを中心に海外Redditでも厳しい評価が並び、レビューサイトでも賛否が真っ二つに割れた。
わかる、わかるよ、と思いながらも、僕自身は毎週録画を消さずに残していた。なぜかって、第1クールの終盤、サイタマと怪人王オロチの戦いで「あ、これ作画が戻ってきた」と感じる回があったからだ。あの一瞬の高揚を知っているから、僕は「もう期待しない」という誓いを、心のどこかで破り続けていた。
なぜ「1期だけ神作画」になってしまうのか——ラーメン屋の暖簾(のれん)の話
ここで一度、冷静に仕組みを整理しておきたい。アニメの作画が期ごとに揺れるのは、根性ややる気の問題ではない。ほとんどが「人」と「時間」のリソース配分の問題だ。
分かりやすい比喩で言うなら、それは町のラーメン屋だ。開店当初、店主が魂を込めて一杯ずつ作っていた店に、行列ができた。そこで味を落とさず店舗を増やすには、修行中の弟子に厨房を任せ、本部は「利益が出る店」を選んでシフトを組むしかない。第1期を手がけた夏目真悟監督とマッドハウスのチームは、まさに”店主の一杯”だった。そして第2期以降、制作はJ.C.STAFFに移り、櫻井親良監督、第3期では永居慎平監督へとバトンが渡った。
制作会社が変われば、演出のクセも、アクションの”間”の取り方も変わる。さらに複数の作品を並行して回す制作ラインでは、どうしても山場にリソースが集中する。だから「全話が神作画」は、現代のTVアニメではほぼ奇跡に近い。逆に言えば、山場に全部を賭ける構造だからこそ、オロチ戦のような”爆発回”が生まれる。この振れ幅をどう捉えるかで、作品の見え方は180度変わる。

【ガチ比較】1期・2期・3期を”ファンの体温”で並べてみた
頭でっかちな論評は置いておいて、僕が実際に全期を見返してつけた、本音ベースの採点表がこちらだ。数字と本音を正直に並べた。
| 期 / 放送年 | 制作体制 | 作画の熱量(体感) | やってみた本音・注意点 |
|---|---|---|---|
| 第1期 / 2015年 | マッドハウス・夏目真悟監督 | ★★★★★ | 「これが基準」になってしまう呪い。初見は鳥肌、見返すと他が霞む |
| 第2期 / 2019年 | J.C.STAFF・櫻井親良監督 | ★★★☆☆ | アクションの枚数は減ったが、話の運びは丁寧。比較しなければ十分楽しめる |
| 第3期第1クール / 2025年 | J.C.STAFF・永居慎平監督 | ★★★☆☆(山場は★★★★) | 序盤は静止画多めで正直キツい。だがオロチ戦など要所で一気に巻き返す |
| 第3期第2クール / 2027年1月 | J.C.STAFF・永居慎平監督 | ★★★★★(期待値) | ガロウとの決戦編。新キャラのビジュアルが既に良い。ここに賭けるしかない |
この表で僕が注目してほしいのは、第3期第1クールの「山場は★★★★」という部分だ。全体の体感が★★★でも、要所の爆発力は第2期を上回っていた。つまり制作陣は、限られたリソースの中で”どこで殴るか”を完全に理解している。そして2027年1月から始まる第2クールは、原作でも屈指の山場、サイタマとガロウの決戦に当たる。永居監督が第1クールで温存してきた分を、ここで全開にしてくる可能性は、経験上かなり高い。TVアニメの予算配分とは、そういう”尻上がり”の設計図で組まれているからだ。
PV第1弾を0.5倍速で5回見た僕が気づいた、小さな希望
疑り深い僕は、公開されたばかりのPV第1弾を、あろうことか0.5倍速で5回も再生した。すると、いくつか気づくことがあった。
ひとつは、ガロウの動きの”タメ”。第1クールで批判された静止画の連続ではなく、攻撃前にしっかり”溜め”が入ってから振り抜く、あの気持ちいい間合いが戻ってきている。もうひとつは、影の落とし方。前クールの平坦な塗りと違い、戦闘シーンに立体感のあるライティングが乗っていた。そして何より、キービジュアルにサイコスが堂々と描かれている。新キャラを前面に押し出すということは、制作側が「ここからが本番だ」と自覚している証拠だ。
もちろん、PVは「良いカットだけを集めた名刺」だ。ここで油断してはいけない。ただ、最初に書いた通り、僕はもう期待しないという誓いを、とっくに破っている。バカみたいだと思う。でも、それだけこの作品に人生の一部を預けてきたということでもある。深夜に一人でガロウ戦を待つ時間は、地味に僕の生きる楽しみのひとつになっている。

ぶっちゃけ読者が気になる疑問(FAQ)
Q1. 第1クールの作画が不安だった人も、第2クールは見ていいの?
A. 見たほうがいい、と正直に言いたい。第1クールの序盤と、第2クールのガロウ決戦は求められているものが根本的に違う。会話劇にリソースを割く必要がないバトル編だからこそ、映像の熱量が一段上がる期待値がある。PVの手触りは、明らかにその方向を向いていた。
Q2. アニメから入った初心者は、原作を先に読むべき?
A. 好みが分かれるところだが、僕は「原作を読んでからアニメを見る」派だ。理由は、アニメで削られた心理描写を原作が補ってくれるから。アニメの作画が多少揺れても、頭の中で原作のコマが補完してくれて、結果的に満足度が上がる。逆に、映像美を最優先したい人は原作知識なしで挑むほうが”驚き”は大きい。
Q3. 2027年1月って、まだ1年以上先では?
A. その通りで、いま待つには長い。だからこそ、僕は「原作を一気読み→アニメ1期を見返す→PVを眺める」という順番で、この1年の渇きを自分でコントロールしている。じわじわ準備する期間があると思えば、悪くない。待ち時間そのものが、ファンにとっては最高の前菜だ。
まとめ——明日からできる、たったひとつの準備
結論を急ごう。ワンパンマン第3期第2クールは、2027年1月放送。OPはJAM Projectの「Never Done~最強VS最恐~」、新キャラのサイコス登場、そして原作屈指のサイタマ対ガロウ決戦。原作の累計発行部数はすでに3,800万部を突破している。
僕たちが今できることは、たったひとつ。「あの冬の失望」を、そろそろ手放すことだ。完璧な第1期を永遠の基準にしている限り、どんな新作も霞んでしまう。そうではなく、限られた条件の中で「どこで殴ってくるか」を楽しむ。それが大人のアニメの見方だと、僕はこの1年で学んだ。
さて、僕は今夜もPVをもう一度だけ見てしまうんだろう。0.5倍速で。そして2027年1月、きっとまた深夜に起きて、ガロウの戦いを固唾をのんで見守っている。期待しないと誓った人間ほど、期待に満ちた顔をしているものだ。
公式の発表はこちらから確認できる:TVアニメ「ワンパンマン」公式サイト。キービジュアルとPVの詳細はファミ通.com、キャストや主題歌コメントはアニメイトタイムズでチェックしてほしい。


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