飲み会の二次会、トイレから戻ったら自分の席がなくなっていた。スマホのグループLINEを開いても、自分の発言の下にスタンプがひとつも付いていない。あの、胸の奥がすっと冷たくなる感じ、ありませんか? 正直、私はこの感覚がいちばん苦手です。誰かに嫌われたわけじゃない。ただ、輪の中に自分の場所がなかっただけ。それなのに、帰り道の電車でやたらと長くため息が出る。
2026年10月20日の夜、東京・後楽園ホールのバックステージで、ひとりのプロレスラーがその孤独をそのまま口にしました。しかも彼女は、ユニットのトップを張っている側の人間です。
「私ってずっと1人…友達がいないんだぁ」後楽園の夜に漏れた本音
この日、女子プロレス「スターダム」は後楽園ホール大会「STARDOM NIGHTER in KORAKUEN 2026 Oct.1」を開催しました。メインイベントでNEW BLOODタッグの新王者に輝いたのは、梨杏と古沢稀杏の「伊藤リスペクト軍団」コンビです。ところが、その後のバックステージが修羅場でした。梨杏は「コズミック・エンジェルズ」のなつぽいにタッグ結成を直訴。なつぽいの親友である安納サオリが割って入るという、見ているこちらが胃の痛くなる展開になりましたが、最終的に梨杏がパートナーに選ばれました。一方、古沢は「ゴッズ・アイ」の虎龍清花を強引に引き連れて控室へ消えていった。
そして、その場にぽつんと残されたのが軍団のリーダー・伊藤麻希でした。彼女が漏らしたのが、このひと言です。
「私ってずっと1人…私って友達がいないんだぁ」

ええ、プロレスラーのセリフですよ? なのに、なぜかこちらの胸がぎゅっとなる。だってこれ、仕事で成果を出した同僚が先に帰っていって、自分だけオフィスの電気を消すときの気持ちと、まったく同じなんですよ。詳しい経緯は東スポWEBの記事に生々しく残っています。
なぜ「軍団のトップ」が、いちばんの余り者になってしまったのか
ここで少し整理しましょう。伊藤麻希は「伊藤リスペクト軍団」というユニットのリーダーで、後輩を引っ張ってきた側の人間です。2026年5月31日には、梨杏が「お金を稼ぎたいです!」と言って軍団入りした、その受け入れ先のトップでした。なのに、その梨杏は外の友達であるなつぽいを選び、相方の古沢は別ユニットの選手を連れて行った。つまり「自分が受け入れた側」から、まっさきに置いていかれたわけです。
比喩にするなら、部活のキャプテンが卒業アルバムの集合写真で端っこに立っている構図。誰も悪くないのに、誰も隣に来なかった。これが地味に、いちばんくるんですよね。
しかも、この日のタッグ結成ラッシュには下地がありました。11月1日に後楽園で開幕するタッグリーグ戦「第16回 ゴッデス・オブ・スターダム」。ユニットや団体の垣根を越えた即席コンビ、いわゆる越境タッグが続々と誕生する流れの中で、伊藤だけが「相方ゼロ」で取り残された。そこで号泣、という流れです。安納サオリに至っては、フワちゃんが現れてあっさりタッグが成立し、「もともと戦った者同士が組んだら絶対強い。ドラゴンボールじゃないですか」と上機嫌で優勝を見据えていました。差がえぐい。
そして忘れてはいけないのが、3月11日の因縁です。新日本プロレスのエル・デスペラードが「DEATH VEGAS INVITACIONAL」の招待状を持って後楽園に現れたとき、伊藤とスターライト・キッドは招待状をめぐって口げんかをしました。そのときキッドが放ったのが、こういう言葉です。
「だから友達できないんだよ、そういうことばっかり言うからさあ」
この経緯は日刊スポーツの記事に詳しいのですが、7か月後、伊藤は本当に「友達がいない」と泣いていた。因果応報というか、フラグ回収というか。プロレスの脚本って、たまに現実のほうが上手いんですよ。

【ガチ比較】越境タッグ5パターン、本音の実用テーブル
| 組み合わせ | 成立の経緯 | 効果・実感 | 手軽さ・コスト | やってみた本音・注意点 |
|---|---|---|---|---|
| なつぽい&梨杏 | 新王者・梨杏がバックステージで直訴。安納サオリを押しのけて成立 | ★★★★☆ | 交渉1本。ただし空気は最悪 | 押しのけられた側の視線が怖い。実力は折り紙つき |
| 伊藤麻希&スターライト・キッド | 号泣現場に偶然通りかかったキッドの「あたしが組んであげよっか?」 | ★★★★★ | ほぼ成り行き。手間ゼロ | 「私とだったら稼げるかもよ?」の一言で即決。実質最強とリプ欄が沸騰 |
| 安納サオリ&フワちゃん | なつぽいに振られた安納の前にフワちゃんが出現 | ★★★★☆ | 即席。ノリと勢いだけ | 「ドラゴンボールじゃないですか」で優勝視野。意外と侮れない |
| 古沢稀杏&虎龍清花 | 古沢がゴッズ・アイの虎龍を強引に引き連れて控室へ | ★★★☆☆ | 実力行使。同意は不明 | 強引さが逆に頼もしい。されてる側の表情は見てはいけない |
| ひとりで突っ走る | 相方探しに失敗したとき、自動的にこれになる | ★☆☆☆☆ | 手間ゼロ。コストもゼロ | 「私って友達がいないんだぁ」で涙腺が崩壊する。いちばん危険 |
この表でいちばん見てほしいのは、やっぱり伊藤&キッドの行です。理由は数字にも出ていて、伊藤の「【速報】ついにタッグリーグの相方が決まりました」というポストは、投稿からわずか数時間で3.5万回再生、2,699いいね、294リポスト、91件の返信を集めました。考えてみてください。「タッグの相方が決まりました」という、本来なら事務連絡でしかない内容です。それがこの数字を叩き出す。つまり世間は、この2人の組み合わせを「ニュース」として受け取ったわけです。表の「効果・実感」欄で唯一の★5つがついているのも、伊藤&キッドの行だけです。手軽さの欄は「ほぼ成り行き」、つまり誰も計画していない。計画されていないのにいちばん強い。これがタッグの面白さで、同時にいちばん扱いにくいところでもあります。
実際に組んでわかった落とし穴――「入場10割、物販10割」の泥臭いリアル
キッドの「私とだったら稼げるかもよ?」という一言で伊藤が手のひらを返した、というのは、外から見ると完全に笑い話です。あれだけ上から目線に文句を言っていたのに、稼げるという単語ひとつで「キッドさん、よろしくお願いします」と固い握手。人間ってこういうものです。私も、定時で帰れると言われた瞬間に残業の文句を忘れたことが何度もあります。
でも「稼げる」は、プロレスラーにとって死活問題です。入場料と物販は興行の生命線で、自分の名前でそれがどれだけ動くかは、リング上の強さと同じくらい重い。伊藤が握手のときに言った「一緒にスターダムで入場10割、物販10割を目指しましょう」は、半分は負け惜しみ、半分は本気のビジネスプランなんですよ。
そして落とし穴はここから先にあります。強い者同士が組むほど、勝ったときに「どっちのおかげか」問題が発生するんです。実力者同士のタッグは、仲良しこよしでは続かない。伊藤とキッドは3月に招待状をめぐって「お前メキシコ帰れ!」「だから友達できないんだよ」とやり合った仲です。この2人が勝ち続けたら、必ず主役の椅子をめぐる綱引きが始まる。リプ欄には早くも「チーム・マキッドwithデスペっち」「デスペさんがいるから実質最強」なんて声が並んで、勝手に最強認定されている始末です。ハードルはもう上がり切っています。しかもキッドは10月11日にデビュー11周年を迎えたばかりで、ワールド・オブ・スターダム王座を狙う「よくばりチャレンジャー」。片や軍団のトップ。噛み合わないはずがない、でも噛み合わないと崩れる。この綱渡りが、タッグリーグ最大の見どころになります。
ぶっちゃけ読者が気になる疑問(FAQ)
Q1. 伊藤麻希とスターライト・キッドって、ぶっちゃけ仲悪いんですか?
A. 悪いというより「遠慮がない」だけです。3月に招待状をめぐって口げんかした相手と、そのまま一緒にラスベガスへ飛んでいる。他人行儀じゃないことの証拠です。本当に仲が悪い相手とは、あそこまで正直に言い合えません。
Q2. リプ欄の「デスペっち」って誰のことですか?
A. 新日本プロレスのエル・デスペラードです。伊藤は東京女子プロレス時代から彼とタッグを組み、入場時に2人で踊り狂った仲で、伊藤リスペクト軍団の構成員に認定しています。一方でキッドはデスペラードを兄のように慕う。つまり2人をつなぐ「共通の知り合い」なんです。だから「withデスペっち」なんですね。
Q3. 「ゴッデス・オブ・スターダム」って何? 初見でも楽しめますか?
A. スターダムのタッグリーグ戦で、今回が第16回。11月1日に後楽園ホールで開幕します。ユニットを越えた即席タッグが乱立するので、「なんでこの2人が組んでるの?」という文脈を追うだけで普通に面白い。今回でいえば、その文脈がいちばん濃いのが伊藤&キッドの組です。公式サイトのスターダム公式で日程と対戦カードを確認できます。
まとめ――泣いた夜のほうが、あとから効いてくる
正直、最初にこのニュースを見たときは「また越境タッグね」くらいの温度でした。毎年この時期は即席コンビの発表が続くので、正直もう慣れっこだったんです。でも、バックステージの「私って友達がいないんだぁ」を読んでから、印象がガラッと変わりました。完璧に振る舞ってきたリーダーが、誰もいない控室でひとり泣いている。その現場に、いちばん因縁のある相手が偶然通りかかって「あたしが組んであげよっか?」と言う。これ以上ないほど人間くさいし、これ以上ないほど都合がよすぎる。プロレスって、やっぱり最高だなと思いました。

11月1日、後楽園ホールで開幕。まずは伊藤麻希とスターライト・キッドの入場を見てください。「入場10割、物販10割」が本当に実現するのか、私は半信半疑です。でも、泣いた夜のあとに生まれたタッグが強いのは、たぶんプロレスに限った話じゃない。
明日からできる最初の一歩は、シンプルです。誰かが輪から外れて立っていたら、こちらから「あたしが組んであげよっか?」と言ってみる。上から目線で構わないんです。大事なのは、その一言を言える人がそばにいるかどうか。伊藤麻希がそれを、涙と一緒に証明してくれた夜でした。


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