「事実は小説よりも奇なり」といいますが、この言葉を地で行く俳優がいました。伝説の名優、サー・クリストファー・リーです。
先日、X(旧Twitter)で彼のあるポストが爆発的に拡散され、その「あまりにも出来すぎた人生」に驚愕の声が殺到しています。「ロード・オブ・ザ・リング」のサルマン役や「スター・ウォーズ」のドゥークー伯爵として知られる彼ですが、その裏には、スパイ活動、ナチス狩り、ヘヴィメタルバンドへの参加という、信じがたいエピソードの数々が隠されていました。
今回は、世界中を驚かせているこの話題のポストを紹介しつつ、クリストファー・リーという人物がどれほど規格外だったのか、その伝説的なエピソードを深掘りして解説します。
世界を震撼させた話題のポスト
まずはこちらのポストをご覧ください。
このポストでは、彼の人生における「異常な」経歴が列挙されています。
「サー・クリストファー・リーの人生は、あらゆる部分が桁外れだった。彼はラスプーチンを暗殺した男たちに会い、最後の公開ギロチン処刑を目撃し、第二次世界大戦中にナチスを狩り、ヘヴィメタルアルバムを録音し、9ヶ国語を操り、イアン・フレミング(ジェームズ・ボンドの生みの親)の従兄弟であり、『ロード・オブ・ザ・リング』のキャストの中で唯一、J.R.R.トールキンに直接会ったことがあった。」
これだけの要素が、たった一人の人間に詰め込まれているとは信じられるでしょうか?まるでフィクションの主人公の設定を詰め込みすぎたようなプロフィールですが、驚くべきことに、これらはほぼ全て事実です。
フィクションを超越した「7つの伝説」を検証
ポストで触れられている内容を中心に、クリストファー・リーの伝説を一つずつ検証していきましょう。
1. ラスプーチンの暗殺者との邂逅
彼が幼少期に、ロシアの怪僧ラスプーチンを暗殺したユスポフ公とドミトリー大公に会ったというのは事実です。不思議な運命の巡り合わせか、後にリー自身も映画『凶人ドラキュラ』(1966年)でラスプーチン役を演じています。「暗殺者に会った子供が、大人になってその殺された男を演じる」という、映画のような因縁です。
2. 最後の公開処刑の目撃者
1939年、彼が17歳の時、フランス・ヴェルサイユで行われたオイゲン・ヴァイトマンのギロチンによる公開処刑を目撃しています。これがフランス最後の公開処刑でした。彼は後に「頭を背けたが、音は聞こえた」と語っています。10代で死の現実を強烈に突きつけられた経験が、後の怪奇映画での鬼気迫る演技に繋がっているのかもしれません。
3. 第二次世界大戦と「ナチス狩り」の真実
「ナチスを狩った」という表現は非常にセンセーショナルで、ネット上でも最も話題になる部分です。正確には、彼は英空軍(RAF)の情報将校として従軍し、特殊作戦執行部(SOE)やSAS(特殊空挺部隊)とも連携していました。
戦後は、戦争犯罪人の捜索を行う組織(CROWCASS)に協力し、ナチスの戦犯たちを尋問・追跡する任務に就いていました。彼自身はこの時期のことについて「言えることはあまりない。私の経歴の多くは機密扱いだからだ」と多くを語りませんでしたが、その沈黙こそが、彼が「本物」であったことを物語っています。
4. ジェームズ・ボンドのモデル?
『007』シリーズの原作者イアン・フレミングは、リーの従兄弟にあたります。彼らはゴルフ仲間でもあり、フレミングはジェームズ・ボンドのキャラクター像を作り上げる際、諜報員としての経験を持つリーの要素を取り入れたと言われています。つまり、彼は映画でボンドの敵(『黄金銃を持つ男』のスカラマンガ)を演じましたが、実は彼自身がボンドのモデルの一人だったのです。
5. トールキンとの直接の対面
『ロード・オブ・ザ・リング』の出演者の中で、原作者J.R.R.トールキンに会ったことがあるのはクリストファー・リーただ一人です。彼は原作の熱狂的なファンで、毎年原作を読み返すほどでした。トールキンに会った際、「いつか映画化されたらガンダルフを演じてほしい」と言われたという逸話もあります。映画ではサルマンを演じましたが、その威厳ある姿は、原作者の魂を知る者ならではのものでした。
6. 90歳でヘヴィメタルシンガーデビュー
彼の伝説は老いても終わりません。素晴らしい低音ボイス(バリトン)を持っていた彼は、80代後半から本格的にヘヴィメタルに傾倒。90歳を超えてからヘヴィメタルアルバム『Charlemagne: By the Sword and the
Cross』などをリリースしました。「史上最高齢のヘヴィメタルパフォーマー」として称賛され、その生き様自体がロックそのものでした。
SNSでの反応:Xの声
この現実離れした経歴に対し、X上では国内外から多くの驚きと称賛の声が上がっています。その一部をご紹介します。
- 「人生そのものが映画の脚本を超えてる。ワイルドすぎるだろ」
- 「あの鋭い眼光は、単なる演技じゃなくて、修羅場をくぐり抜けてきた男の目だったんだな…」
- 「彼がガンダルフを演じていたら、もっと凄みが強すぎて物語が変わっていたかもしれない(笑)」
- 「ナチスと戦い、ドラキュラになり、サルマンになり、最後はメタルシンガー。これもう一周回って何者の人生かわからない」
特に、「本物のスパイが映画でスパイの敵役を演じる」というパラドックスや、「90歳でメタル」という年齢を超越したエネルギーに勇気をもらったという声が多く見られました。
連想される過去の事例:役を超越した俳優たち
俳優が演じる役柄と本人の人生がリンクすることは稀にありますが、クリストファー・リーのケースは「役柄を本人の人生が凌駕してしまっている」稀有な例です。
似たような事例として、しばしば名前が挙がるのが以下の人物たちです。
- オーディ・マーフィ
- 西部劇のスターとして知られますが、実は第二次世界大戦で最多の勲章を受けたアメリカの英雄。彼もまた、映画の中のヒーローごときでは追いつけない「本物の英雄」でした。
- ジミー・スチュワート
- 『素晴らしき哉、人生!』などで知られる名優ですが、第二次世界大戦では爆撃機のパイロットとして活躍し、最終的に将軍にまで昇進しています。
しかし、クリストファー・リーが特異なのは、そうした軍歴に加え、「ドラキュラ」「魔法使い」「シス卿」といったファンタジーのアイコンとしての地位と、さらに「メタルシンガー」という全く異なるジャンルのキャリアまで極めてしまった点でしょう。「多才」という言葉では片付けられない、まさに「巨人」です。
まとめ:事実は小説よりも奇なり
クリストファー・リーは2015年に亡くなりましたが、彼の伝説はこうしてSNSを通じて語り継がれ、新たな世代を驚かせ続けています。
ポストにあった「全ての部分が桁外れ」という言葉は、決して大袈裟ではありません。スクリーンの中で彼が見せた圧倒的な威圧感や深みは、彼が歩んできた壮絶で豊かな人生そのものが滲み出ていたものだったのでしょう。
次に彼の出演作を観る時は、ぜひ思い出してください。目の前にいるその老優は、ドラキュラであり、魔法使いであり、そしてかつてナチスを追い詰め、メタルを歌い上げた、本物のレジェンドなのだと。


コメント